03≪ 123456789101112131415161718192021222324252627282930≫05


| Home |
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スポンサー広告】 | top↑
一枚絵で書いてみm@ster(大遅刻後篇)
 一枚絵で書いてみm@ster第4回参加作品、後篇になります。
 企画締め切りからの大遅刻で、主催のトリスケオンP、絵師のタカシP、
第4回参加者の皆様には心よりお詫び申し上げます。
 申し訳ありませんでした。

 格納先にてご覧くださいませ。
 蒼と黄の翼、鈍色の空 -from Battle Garegga-(後篇)


 罪から逃げてきたはずなのに、その罪が追いかけてくると言うのは皮肉なものだ。
 新鉱脈の発見で閉山の危機を免れた筈のスラッグ渓谷。
 しかしそれは、この場所が豊富な資源の眠る、重要な戦略拠点になることを意味していたのだ。

 「接収ですって?」
 眼前に立つ神経質そうな士官に思わず聞き返す。
 「そうだ、これほどの有望な鉱山だ、いずれ連邦の侵攻を受ける可能性が高くなる。
 そうなる前に軍の管理下に置き、防衛体制の確立と資源の安定供給を図る。」
 「防衛に名を借りた権益の横取りの間違いでは?」
 たまりかねたように横からジョンが口を挟む。
 「鉱山の優秀な技術者と聞いていたから同席を許したが・・・どうやら口の利き方は学ばなかったようだな」
 士官の表情に青筋が走る。
 「も、申し訳ありません!後でこいつにはよく言って聞かせますので!」
 あわてて俺は平身低頭して宥めにかかる。同席していた鉱山長と技師長も剣呑な空気を察して
合いの手を入れてくれる。士官が一瞬毒気を抜かれた隙に、ジョンを連れて逃げるように部屋を退出した。

 そのまま街路を連れ立って歩く。
 「・・・ごめん」
 ジョンがぼそりと呟いた。
 「謝る位なら、あの時ちゃんと我慢しろ。防衛計画に意見具申さえできなかったじゃないか。」
 数日前にこの町に届いた報せ、それはスラッグ渓谷の鉱山の軍による接収と、駐留の決定だった。
 すでに2日前から軍の連中が町に入ってきていた。
 軍の装備、物量、質、を見て俺たちの出した結論は
 「間違いなく連邦に負ける」の一点だった。
 何かできることは無いかと、技師長に頼み込んで話し合いの場をもうけて貰ったのだが・・・。
 軍の連中の本音は防衛に名を借りた鉱山権益の横取り、それにジョンがキレて先ほどの有様だった。
 まあ、俺自身もあのまま、あの士官の戯言を聞いていたら同じ事を言っていたかも知れないから
あまりそのことで弟を責めようとは思わない。
 しかし・・・これからどうしたものか・・・
 うまい考えも浮かばないまま、自然と足は「Dig Dug」へ向かっていた。
 「あ、いらっしゃーい!ブルースさん、ジョンさん!」
 店のドアをくぐると、ヤヨイちゃんの威勢の良い声が響く。
 「お昼ごはん、まだなんでしょう!?すぐ持ってきますね!・・・どうしたんですかぁ?」
 よっぽど俺達の表情が沈んでいたんだろう。心配そうな様子で俺達のテーブルに着いてきた。
 「い、いや、今日も金欠でさ!」
 戦禍を逃れてやってきたこの町がまた戦争に曝されるかも知れないなんて、この幸薄い少女に
言えるだろうか、無理に笑顔を作って冗談で誤魔化す。
 「あれぇ!?珍しいですね!、じゃあまたツケておきますね!」
 屈託無く笑いながら、ヤヨイちゃんは厨房に消えていった。

 この日を境に、町は軍の支配下に置かれた。
 俺たちは何度も軍の連中に兵力の増強と装備の近代化を具申しようとしたが、
取り合ってはもらえなかった。
 
 「その日」は唐突に来た。
 連邦の圧倒的な航空戦力で、元々乏しい地上戦力は壊滅状態になった。
 その後は組織的な抵抗さえできないまま、スラッグ渓谷は連邦に一方的に蹂躙された。
 俺たちはそれに対して何もできなかった。
 救える命は救おうと奔走したけど、俺達の周りの人たちを車に押し込めて逃げることしかできなかった。

 悪夢のような夜が開けた。
 しかし、朝陽に照らされ浮かび上がる光景は、未だ悪夢が過ぎ去った訳では無いことを告げ ていた。
 昨日までは人々が集い、鉱夫たちが酒を酌み交わし語り合ったその場所には瓦礫の山が広がり、
町のそこかしこで硝煙と火災の炎が未だ立ち上っている。
 そして、ともに逃げてきた人々の嘆きの声と子供たちの泣き声が俺達の耳に突き刺さる。
 これが、俺達のしてきたことの結果か。
 いくら逃げても、この「罪」は追いかけてくると言うのか。
 いっそ懐の銃をこめかみに当てて引き金を引いてしまおうかと思った。
 と、俺の耳に澄んだ歌声が聞こえてきた。
 ・・・この声は!。
 

 湖にある破壊された船の竜骨に、まるで道化師のように器用に座って、
 彼女は何故か美しい微笑をたたえて歌っていた。

kakimaster04_convert_20100614071331.jpg


 泣く事なら容易いけれど、悲しみには流されない


   
 そうなのか、チハヤちゃん。君は悲しみには流されていないのか。
 でも、君の不幸も俺たちの所為なんだよ。
 それでも、君は同じように歌えるのか?
 
 歌が終わる。
 彼女はその歌の様に、ふわりと身を躍らせた。
 まるで計ったかのように俺の目の前に着地する。
 
 「ありがとう、助けてくれて」

 その言葉は混じりっ気なしの感謝の言葉で
 何の裏表のない笑顔で
 ただ、感謝というものを現したその言葉と表情に

 「違う・・・違うんだよ!」

 もう、俺は耐えられなかった。

 「みんな…聞いてくれ!
  今日、鉱山を壊した奴らの兵器は俺と弟が作ったんだ!
  俺達があんなものを作らなければ、戦争なんて起きなかった!
  チハヤちゃんとヤヨイちゃんの家族も、故郷も、みんなの家族も、あの街も!
  全部俺達が壊したんだ!
  もう…俺に、俺達にのうのうと生きている資格なんて無いんだ!」
 「兄さん!」

 俺の突然の告白に弟は血相を変えて駆け寄ってきた。
 チハヤちゃんは茫然とした顔で俺を見ていたが、
 
 「歯を食いしばりなさい!」

 パーンと乾いた音が響いた。

 「生きている資格がないってどういうこと?
 全てを壊したと言うなら、その責任を取りなさい!
 全ての責任を果たして、まだ死にたかったら、私が弟の恨みも込めて貴方達を殺す!」

 大粒の涙を流しながら、少女は怒りに身を震わせていた。
 
 「行け、そして戻って来い」
 親方が一歩進み出てきて言った。
 「戻ってきたら、町を壊した分、キッチリぶん殴ってやる。
 だから、必ず生きて戻って来い」
 「親方さん、殴るのはツケた分を払って貰ってからにしてくださいね!」

 「親方…ヤヨイちゃん…」
 
 ジョンが俺の肩を叩く。

 「行こう、兄さん。ここは僕たちのいるべき場所じゃない」
 俺達は皆に背を向けて歩き始めた。
 俺達のやるべき事をするために。
 
    
 今目の前にあるのは厳しい現実。
 ひたすら逃げてきた現実が目の前に横たわっている。
 しかし、もう逃げはしない。
 自ら生み出した兵器を、その手で葬りさる。
 その行為に正義はないと知りながらも、エンジンの回転と共に高まる鼓動を抑えることが出来ない。
 いいだろう。自身の責任を果たすのに、大義はいらない。
 ただ、今は出撃の時を待とう。今までの自分がしてきたことのために。

 そして、これからの自分が歩いて行けるように。

             Fly to the Leaden sky
 この、先の見通せない鈍色の空に。
スポンサーサイト

未分類TB(0) | CM(0) | top↑
<<今日のシューターホイホイ (特大版) | Home | 今日のシューターホイホイ 特別版>>
comments
please comment














Only Admin
| Home |
プロフィール

wingeddeath(春雨バナナ君P)

Author:wingeddeath(春雨バナナ君P)
B級シューター兼ニコマスPです。

好きなシューティング
メタルブラック
パンツアードラグーンツヴァイ

自作品リスト


im@shooting全作品リスト

FC2カウンター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。